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平田, 昌弘; HIRATA, Masahiro. |
インドには,ユーラシア大陸においてインドのみにしか観られない乳加工技術がある。ライム汁(植物有機酸)を凝固剤にしてチーズを加工したり,加熱濃縮系列群の乳加工を採用したりと,大変珍しい技術が存在している。また,乳製品の菓子である乳菓にも種類が多い。鴇田の報告(1992)からも分かるように,類似した乳加工技術や乳製品がインドでは多種多様に発達している(図1)。新しい乳菓を開発しようとしている菓子職人,和食と乳製品との融合を図ろうとしている開発者には,ぜひインドを訪問されてみられるとよい。斬新なアイデアが得られることであろう。 本稿と次号Vol.53 No.7ではインドの都市と農村での事例を中心にして,乳製品の種類とその加工法,そして,利用のされ方について紹介する。インド乳製品の多様性の整理を試みるために,本稿では類型分類法として,乳のみを素材とした乳製品と添加物を付加した菓子的な乳製品とを区別するために,乳のみを原材料として加工した乳製品を「乳のみの乳製品」,乳を主な材料にし,砂糖やナッツ類などを添加して加工した菓子様乳製品を「乳菓」として区別する。「乳のみの乳製品」には,酸乳,バター,チーズ,バターオイル,バターミルク,クリームなどを含み,その製造工程は乳のみを原料とした加工技術により構成される。一方,「乳菓」を加工する工程は,「乳のみの乳製品」に添加物を付加し,乳製品を様々な菓子に加工する乳加工技術となる。本稿では,インドの複雑な乳製品の土台となる「乳のみの乳製品」について先ずは報告する。 |
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Palavras-chave: 乳加工; 乳製品; 都市; 農村; インド; 南アジア. |
Ano: 2011 |
URL: http://ir.obihiro.ac.jp/dspace/handle/10322/3172 |
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平田, 昌弘; HIRATA, Masahiro. |
本稿では,シリアの都市と農村での事例を中 心にして,乳製品の種類とその製造法,そして 利用のされ方について紹介する。紹介する内 容は,都市の乳加工についてはシリア北西部ア レッポ市で1993 年から1996 年まで長期滞在し ていた際に下宿していた大家家族やスークと呼 ばれる商店街での聞き取り,農村に関してはア レッポ市近郊での聞き取りにもとづいている (図1)。水牛の乳を用いた乳加 工は,シリア北東部のカミシリ 市とマルキーエ市の農村での聞 き取りによる。大家家族はアラ ブ系のクリスチャン家族であ り,農村民はアラブ系およびク ルド系のイスラム教徒である。 アレッポや首都ダマスカス などの大都市は年間降水量 300mm から400mm に位置して いる。これらの地域では乳牛が 大規模集約的に飼養されてお り,農家での少頭数飼養と合わ せて,年間を通して牛乳が都市 に供給されている。また,シリ アの大部分を占める乾燥地帯で はヒツジやヤギの飼養が中心となり,搾乳シーズンの1 月から9 月頃にかけて は,羊乳(実際には山羊乳が一部混入している) でできた乳製品が都市に供給される。一般的に 西アジアでは,牧畜民はもとより都市や農村の 人々も,ウシよりもヒツジの乳を尊重し,ヒツ ジの乳製品に愛着を持っている。羊乳でできた 酸乳やチーズなどの乳製品の方が牛乳のものよ り,こってりして美味しいという。実際に羊の乳脂率は平均7.9% であり,牛乳の平均3.8% よ りも高い(Jenness and Sloan,1970)。牛乳より も羊乳への嗜好性は確かにあるが,牛乳も羊乳 も乳加工技術や乳製品はほとんど変わりない。 |
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Palavras-chave: 都市; 農村; 乳製品; 西アジア. |
Ano: 2011 |
URL: http://ir.obihiro.ac.jp/dspace/handle/10322/3070 |
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